Nudge Product®組織行動科学®|リクエスト株式会社

RESEARCH & PRACTICE · 2026年10月

ナッジの現在地。
使いどころと、確かめ方。

選びやすく、始めやすくする工夫を、
使う人の役に立つところまで考える。

国内外の研究・公的資料から、仕事や暮らしでナッジを使うときに知っておきたいことを整理しました。気になる問いから、研究の結果と条件へ進めます。

2026年10月29日 更新Nudge Product®|リクエスト株式会社

01 · 何に働きかけるか

選ぶときの環境を整える。

ナッジは、選択肢を残し、金銭的な条件を大きく変えずに、情報の見せ方や配置、初期設定などを通じて行動を後押しする方法です。本人が別の選択を容易にできることも大切にします。

身近な工夫を考えるときは、「選びやすさ」「実行できる条件」「自分で判断する力」を見分けると、何を整えるかが具体的になります。

例

仕事で迷ったとき、社内の専門家に相談する。

A

選びやすくする

作業画面に、相談先と「相談する」の入口を分かりやすく置く。

ナッジで考えられる工夫相談しない選択も残す。
B

実行できるようにする

専門家が対応できる時間を確保し、相談のために作業を離れられるようにする。

時間・体制などの条件整備案内を見た後に、実際に使えるか。
C

自分で判断できるようにする

どの段階で、何を相談するとよいかを、仕事の例と一緒に学ぶ。

判断する力を支える方法ブーストという考え方ともつながる。

実践では、これらを組み合わせられます。Nudge Product®は、ナッジを入口に、必要な道具や時間、使った経験、新しい役立ち方まで考える取り組みです。

02 · 研究から読む五つの問い

効果が出た条件から、
使う人の経験まで。

研究を自分の場面で使うには、対象・比較・測った結果を確かめます。以下は、掲載研究をつなげたNudge Product®の読み方です。

01

誰に、どの場面で、どれくらい役立つか。

複数の研究をまとめた平均効果は、研究の集め方や、発表されにくい結果をどう扱うかによって変わります。米国の二つのナッジ組織を調べた研究では、126試験で、対象行動を実施した割合の対照群との差は平均1.4ポイント。比較した学術論文群の8.7ポイントより小さくなりました。主に通知・伝達を扱った結果です。

試すときは近い対象・手法・指標の研究を探し、自分の場面でも比較する機会をつくります。平均値をそのまま見込み効果にせず、届いた人数や費用も合わせて考えます。

02

行動の結果と、本人の納得は一致するか。

選択が変わったことと、本人が納得して選べたことは、それぞれ確かめる必要があります。英国のオンライン研究では、同意の回答にかかわらず、全員に寄付額の初期設定を提示しました。同意した群と同意しなかった群の平均寄付額に有意差はありませんでした。一方、同意しなかった群は反感が強く、幸福感が低くなっていました。同意は本人が選んでいるため、同意を得れば感情が改善するという因果関係までは言えません。

試すときは利用件数と一緒に、別の選択へ変えやすかったか、説明を理解できたか、望まない負担がなかったかを確かめます。

03

続いた変化は、人と環境のどこに残ったか。

省エネ報告を使った38の実験を分析した研究では、住む人が替わった後も、元の住まいに削減効果の約半分が残りました。設備などに残った変化と整合する結果ですが、設備導入を一件ずつ直接確認した研究ではありません。

試すときは継続を本人の習慣だけで説明せず、道具、設備、配置、利用の機会にどんな変化が残ったかも見ます。

04

選びやすさと、考える機会をどう組み合わせるか。

英国のオンライン実験では、環境に配慮した食事を選ぶ意思を振り返ってから低炭素メニューを初期表示する条件で、通常メニューや初期表示だけの条件より、注文予定に基づく排出量指標が低くなりました。実際の購入・摂食を確認した研究ではありません。また、学生住宅の省エネ実験では、ナッジと、判断する力を支えるブーストの間に、事前登録された比較で明確な差は確認されませんでした。

試すときはすぐに選べる工夫と、自分で理由を考えられる機会の両方を検討します。手法の名前から優劣を決めず、その人が必要としている助けを見ます。

05

現場の仕組みに、どう組み込んでいくか。

環境省は2026年9月、2017〜2025年度の実証事業を整理しました。RCT・自然実験等の135実証のうち、主要な評価指標で統計的に有意な効果が確認された「有効」は76件。中間指標の改善や、効果が確認されなかった実証も分けて示しています。金銭的誘因などを含むため、ナッジ全般の成功率を示す集計としては読めません。

実装の面では、OECDのLOGICが、担当・資源・通常の手順・評価へ行動科学を組み込む条件を整理しています。個別の案を試すことから、日常の業務で使い続ける仕組みまで視野を広げられます。

試すときは事例の数に加え、何を測り、どの業務で使い続けられたかをたどります。担当者、使える時間、手続き、振り返る機会まで整えます。

03 · 自分の場面で試す

一つの工夫から、
役立ち方を確かめる。

社内の専門家に相談する場面なら、次のように整理できます。これは掲載研究をもとにした実践への提案です。

  1. 1

    本人が実現したいことを聞く

    判断に迷ったとき、必要な助言を得て仕事を進めたい。どの場面で困り、今はどう対応しているかを確かめます。

  2. 2

    止まっている理由を確かめる

    相談先が分からないのか、時間が取れないのか、相談すると評価が下がると感じるのか。理由によって、整える点が変わります。

  3. 3

    一つ変え、比較できる形で試す

    相談先の案内を変えるなら、何を変更し、いつ、誰が使えるかを記録します。可能なら条件の近い部署や期間と比べ、別の変更も記録します。

  4. 4

    使った後まで見る

    相談の件数、仕事が進んだか、本人と専門家に生じた負担、次に相談が必要だったときの使われ方を分けて確かめます。

思いがけない使われ方から、次の価値を考える。

例えば、相談後に同僚へ説明するため、自分で図を描いている人がいたら、何を伝えようとしていたのかを聞いてみます。その必要に応じて、説明に使える図のひな形や、事例を持ち寄る場を試す。使う人の工夫から、提供するもの自体も考え直していきます。

自分の場面を、一枚の設計メモに。

場面、工夫、確かめ方を選んで整理できます。

工夫を考える

気になる問いから、原典へ。

各研究ページに、結果、言える範囲、実践への提案、原典リンクをまとめています。本文の関連箇所を確認した研究・公的資料を掲載しています。

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研究動向の整理は2026年10月29日時点です。外部研究から得られる知見を、Nudge Product®の設計・試作・検証へつなぐ手がかりとして紹介しています。